「権利能力」があれば、誰でも、有効に売買契約を締結したり、物を所有することができる。
自然人であれば、誰でも、権利能力を有している。しかし、権利能力は有していても、実際に、それらの行為を行うだけの判断能力がなければ、意味がない。
例えば、赤ん坊は売買契約の意味を理解できない。
契約というのは、当事者の意思が合致することにより成立するものであるから、少なくとも、自ら意思を表示できるだけの能力が備わっていなければならない。
この能力のことを「意思能力」と呼ぶ。
子供の場合、意思能力は、大体、小学校に入学するころから備わりだすとされている。
最も、おもちゃを買う意思能力と、土地を購入する意思能力は、程度の差があるから、取引の種類によって、意思能力の有無について、判断しなければならない。
意思能力が欠けている子供であっても、親などが代わりに売買契約等を締結することはできる。親などが代理すれば、例え、赤ん坊であっても、土地を購入したり、所有することができる。
子供のように、意思能力が十分でない人については、契約等において、大人と同様に扱うことは妥当ではない。
例えば、小学生が土地、建物など莫大な財産を有していたとして、大人と土地について、売買契約を締結することは、ちょっと危険である。
もしも、騙そうと思えば、簡単に騙せてしまうだろうし、極端な話、テレビゲームと土地を交換しようなどと言う交換契約を締結してしまいかねない。
やはり、一定の法律行為をするためには、ある程度の能力が必要である。この能力のことを、「行為能力」と呼ぶ。
子供のように、十分な能力が備わっていない人については、民法によって、行為能力を制限することで、保護することにした。
例えば、子供の場合は、両親の同意がなければ、土地の売買契約を締結することはできない。もしも、親の同意なしに売買契約を締結したとしても、後から、取消すことができるようにしたのである。(民法5条2項)
このように、行為能力が制限されている人のことを「制限行為能力者」と呼ぶ。
制限行為能力者は、未成年者だけではない。未成年でなくても、痴呆などにより、うまく意思を表示できなくなってしまうこともある。そのような方についても、裁判所に申し立てることで、制限行為能力者となることができ、民法の保護を受けることができる。
制限行為能力者は以下の4つに分類される。
1、未成年者
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
2、成年被後見人
(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
3、被保佐人
(保佐開始の審判)
第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
(被保佐人及び保佐人)
第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
4、被補助人
(補助開始の審判)
第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。
(被補助人及び補助人)
第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
以上、民法総則 権利能力、意思能力、行為能力についてでした。
この記事は、ゼロニュース 民法総則 権利能力、意思能力、行為能力より提供されています。
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