未成年者以外の方であっても、重要な取引において、保護するべき方が存在する。例えば、痴呆の方や高齢者で判断能力が衰えている方などが、悪質業者に騙されて、財産を失うということもある。このような事態を放置することは、妥当ではないので、民法によって、一定の保護を与えることにした。
それが、成年被後見人、被保佐人、被補助人などの制度である。
重要な財産の取引の際に、意思能力がなかった場合は、当該取引は、当然無効であるが、無効を主張するためには、取引当時、意思能力を欠く常況に合ったことを証明しなければならないが、それは容易なことではない。
そこで、あらかじめ、意思能力に乏しい方を成年被後見人、被保佐人、被補助人などにしておき、そのような相手方と取引するためには、成年後見人、保佐人、補助人などの同意や代理によらなければならないこととして、意思能力を欠く常況にあるものを保護することとした。
成年被後見人
(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
成年被後見人の法律行為は常に取消すことがでぎる。
成年被後見人には、成年後見人がつく。成年被後見人になると、例え、成年後見人の同意を得ても、単独で、有効な契約の締結をすることはできなくなる。そのため、成年後見人が代理して、契約締結等の法律行為をなすことになる。
なお、成年被後見人が単独でなしたる行為を後に成年後見人が追認することは可能とされている。
未成年者と違い、成年後見人の同意を得ても、成年被後見人が追認することはできないと解されている。(未成年者は、未成年者である間でも、法定代理人の同意があれば、追認することができるとされている。)
※追認に関する参考条文
(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。
被保佐人
(保佐開始の審判)
第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
(被保佐人及び保佐人)
第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
被保佐人になると、重要な財産の取引については、保佐人の同意を得なければ、単独ですることはできなくなる。保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
なお、保佐人は、成年後見人と違い、代理人としての権限はないので、被保佐人に代わって、法律行為をなすことはできない。
成年被後見人が単独でなしたる行為を後に成年後見人が追認することは可能とされている。
未成年者と同様、保佐人の同意を得て、被保佐人が追認することも可能と解されている。(cf.成年被後見人は、追認できない。)
被補助人
(補助開始の審判)
第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。
(被補助人及び補助人)
第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
被保佐人の制度を部分的に取り入れた制度が、被補助人の制度である。従って、基本的には、被保佐人の制度と同様である。
注意するべき点は、「本人以外の者の請求により被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をする場合には、本人の同意が必要である」という点である。
以上、今日は、「成年被後見人、被保佐人、被補助人とは」という話でした。
この記事は、ゼロニュース 民法総則 成年被後見人、被保佐人、被補助人とはより、提供されています。
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