メールやインターネットを利用しての契約が今日では当たり前のように行われています。
今は、メールやインターネットでは、瞬時に相手に届きますから、メールやインターネットを使って、契約をしていても、相手との距離を感じないかもしれません。
しかし、メールやインターネットを利用しての契約は、対面の契約と違い、時間的なずれがあることは否めません。
メールやインターネットを郵便に置き換えて考えるとよりわかりやすくなりますが、こちらの手紙が相手に届くまでの間、時間がかかります。一方、相手から、返事の手紙が届くまでも、時間がかかるわけです。
対面の契約と違い、時間的なずれがあるため、どの時点で、契約が成立しているのかということが問題になります。
以下の事例で考えて見ましょう。
甲(買主)→←乙商店(売主)
手紙による売買
甲が乙が売っている商品を買おうと思って、乙に対して、買いますという手紙を出した。
甲が買いますという手紙を乙に対して出す行為は、契約で言えば、申込にあたります。
では、契約の申込は、いつの時点でなされているといえるのでしょうか。甲が手紙を出した時点で、契約の申込がなされていることになるのか、乙のところに届いたところで契約の申込がなされているのかという問題です。
もしも、甲が契約の申込をした時点で、契約の申込があったとされると、仮に、手紙が乙のところに届かなかった場合でも、甲が意思表示をしていることになってしまいます。これではおかしいですよね。ずっと赤の他人であった甲と乙であるのに、乙の知らないところで契約の申込がなされていて、何も知らされないままに、契約関係成立に向けた交渉過程に入っているのは常識的に考えてもおかしいわけです。
そこで、乙のところに届いたところで契約の申込がなされていると見ると、乙としても、甲の意思表示を知ることができるわけですし、不意打ち的に契約関係成立に向けた交渉過程に入ることもないわけです。
常識で考えても、甲も手紙を書いた時点で、乙がその内容を知っていると考えることはないわけで、乙が読まなければ、内容を知ることはないことを理解しているはずです。
よって、相手のところに届いたところで契約の申込がなされていることになります。(到達主義)
※参考条文
(隔地者に対する意思表示)
第97条 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
では、次に行きます。
乙は、甲の手紙を読んで、売りますと旨の手紙を甲に対して発信した。
売りますと旨の手紙を甲に対して発信する行為は、契約で言えば、承諾に当たるわけです。
では、承諾は、いつの時点でなされているといえるのでしょうか。乙が手紙を出した時点で、契約の承諾がなされていることになるのか、甲のところに届いた辞典で契約の承諾がなされたことになるのかという問題です。
申込の場合と同じように、甲のところに届いた時点で、承諾がなされていると考えるべきなのではないかと思うかもしれません、
しかし、承諾については、乙が手紙を出した時点でなされていることになります。(発信主義)
※参考条文
(隔地者間の契約の成立時期)
第526条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
なぜ申込と承諾とで違っているのか?
通常、売主としては、承諾の手紙を書いた後、出荷準備に入っていることが多いですよね。注文があった以上は、迅速にお客様に届けるべきですからね。
それなのに、承諾の手紙が、お客様の元に届かなければ、契約が成立していませんよというのでは、取引の安全を害することになります。
それに、承諾の通知がお客様の元に届かなければ、契約が成立していないとするのでは、いちいち、手紙が届いたかどうか確認してから、商品の出荷準備に入らなければならないわけで、非常にわずらわしくなります。
ですから、商取引の安全を考慮して、承諾については、手紙を出した時点で効力が生じるという発信主義を採用しているわけです。
この記事の詳細はゼロニュース 隔地者間の契約 メールや手紙での契約でご覧ください。
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